メディアリテラシーを磨く

静岡新聞:時評

ロンドンオリンピック開幕まで1カ月を切り、いよいよ始まるといった雰囲気が漂い始めた今日である。オリンピックによってスポーツへの注目度もあがり、関係者がメディアに露出する機会も増加する。

ここで気になるのが、メディアリテラシーである。メディアリテラシーとは、「メディアの特性や社会的意味を理解し、そこから形作られる現実を建設的に批判する」「メディアを使って表現し、社会に向けて効果的にコミュニケーションしていく能力」である。メディアへの出演では、後者の能力が問われるが、全般的に日本人はこうした能力が開発されていない印象がある。

実はこのコミュニケーション能力は、選手や指導者、あるいはスポーツ界全般の価値を左右し、マーケティング戦略としても重要な役割を担っている。言葉遣いはもちろんのこと、内容、しゃべり方といった表現力、しゃべっている時の態度など、さまざまな要因によって、与える印象は大きく異なるのが事実である。

明確な表現、構成力重要

現状として、「応援ありがとうございます」「頑張ります」といったステレオタイプのコメントが多く、自身の考えや感想についての表現力も乏しい。これでは、プレーの素晴らしさとのギャップが生じ、違和感を抱かせる。

現在は、質問に対して瞬時に最適な答えを見つけ出し、そしてよりよい印象を与える表現をする能力が求められている。だからこそ、パフォーマンスと共に必要な能力としてメディアリテラシーをトレーニングしなくてはならない。メディアリテラシーを磨くには、「自身の主義・主張を明確にすること」が必要である。また理路整然と受け答えをするために、相手の発言の内容や意図を理解する「理解力」、説得力があるように表現する「構成力」も要求される。そして、多様な知識を集約しながら学ぶことも重要であろう。海外のスポーツ関係者はメディア対応のレクチャーも定期的に受けており、こういった能力に磨きをかけている。その結果、自分たちのステイタスを上げることに役立てているのである。日本代表の選手やスタッフにも、素晴らしいパフォーマンスと共に、素晴らしいコメントで我々を感動させてくれることを期待してロンドンオリンピックを待ちたいと思う。

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Published in column on 2012/07/04 at 22:30 by SCD